ワークショップが日本に広がりを見せ始めてすでに長い年月がたとうとしています。「参加体験型学習」と呼ばれていたものを仮に1.0とし、より参加者の主体的な関わりが求められてきているものを2.0とした場合、この先どのようなワークショップが必要となり、求められてくるのかを探ろうとする試み、それがWorkshop3.0です。
2月8日、小雨混じりの雪が降るなか「WORKSHOP3.0」を開催しました。
開始時間も少し過ぎた頃、どこからともなく作り出されたリズムの音につられて手を叩く人、配られた楽器を鳴らす人など、音の輪が広がって、いつしか会場内ではひとつの音楽が創りだされていました。
ドラムサークルファシリテーター合図の元、大きな音が揃ってイベントがスタートしました。ドラムサークルが終わった瞬間始まったのは今回のゲストである上田信行さんのゼミ生、「girls media Band」のステージです。 キレのあるダンスに会場も盛り上がります。そのまま上田信行さんのミニワークショップへ。 大学生時代、アメリカでのセサミストリートとの出会いが自分の原点であると話す上田さん。 常に新しいことに挑戦し、その場その瞬間の変化を大切にされていることが伝わってきました。
このミニワークショップを通じて、参加者の方々も「playful learning (楽しさの中にある学び)」を体感することができたように思います。 「play play play」をテーマに、歌って踊って話して、あっという間の30分でした。
続いて「EN Lab.」代表である荒木寿友のミニワークショップが始まりました。 テーマは「円 縁 炎」。
まず参加者は12のグループに分けられました。 そこでだされたお題は「各チーム、協力してカレンダーを作ろう!」 会場にあるものを自由に使って担当した月をイメージさせる写真を撮ります。 各チーム頭をフル回転させながら絵を描いたり工作をしたり演技をしたりとアイデアを形にしています。
最後に全員で写真を鑑賞しながらの答え合わせ。 終始笑い声の絶えない30分でした。
最後は中野民夫さんのミニワークショップです。 「修行 修行 修行」がテーマの今回は、 ・心身を共に整えること
・自然の恵みによって支えられていることを見ること
・自然を体験すること
・多様な人と対話し、お互いを理解すること
・異世界を旅すること
・もっと気楽にアートを楽しむこと
・一生懸命
に仕事をすること という「7つの修行」についてお話されていました。 KP法(紙芝居プレゼンテーション法)を用いながら、日常に溢れている「当たり前」に改めて目を向けることのできる30分でした。
今回ゲストのミニワークショップと同じく大切にしたかったのが、合間にあるフリータイムでした。 会場内で同じ空間を共有した者同士だからこそ生まれる共感や考えを交流できる時間となったように思います。
そして、ファシリテーターに桜井肖典さんをむかえ、ゲストによる鼎談を行いました。お互いのワークショップを振り返りながら、改めてそれぞれのワークショップ3.0に対する意味付けを行うことができました。 そこから話題はこれまでのワークショップについて、参加者とファシリテーターの位置について、そもそもワークショップってなんだろうという根本についてまで、どこまでいっても尽きません。 ゲストが考えるワークショップ3.0はそれぞれ全く違うものですが、だからこそそれぞれが混ざり合って新しいものが生まれる時間となったように思います。
最後は当団体メンバーである石橋によるファシリテーショングラフィックに、各自がその時感じたことや印象に残った言葉などを付箋で記入していきました。 今日一日の流れと共に、自分自身の変化も振り返ることのできる時間となりました。今回のイベントの副題は「これからのワークショップを紡ぎ出す」 それぞれのゲストが考える未来のワークショップを実際に体験し、そこから自分にとってのワークショップ3.0を考える、 そんな「始まりの1日」になっていれば幸いです。