■Dream Train訪問

  活動1日目、最初に向かったのはヤンゴン市内に位置する「Dream Train」という児童養護施設です。NPO法人ジャパンハートが2010年に開設したこの施設は、人身売買をブロックし、人身売買の結果として起こるHIV感染の予防を目的として作られました。施設には人身売買に巻き込まれる可能性のある子どもの他、親から虐待を受けたり、学校に行けない子どもたち187名が暮らしています。

 まずはスタッフの方から「Dream Train」についての簡単な説明を受け、施設の中を案内して頂きました。建物は男の子が暮らす棟と女の子が暮らす棟で分かれており、他にも食堂や運動場などが併設されています。壁にはポスターや子ども達の描いた絵が飾られており、子ども達は思い思いに時を過ごしていました。

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 一通り施設の見学が済んだ後は、子ども達が遊んでいるプレイルームへ。始めはお互いに緊張している様子でしたが、気が付けばメンバーそれぞれ子ども達の輪に入り、カードゲームやビー玉転がしなど一緒になって遊んでいました。目が合うとはにかんだ笑顔を見せてくれる女の子と、とにかく元気いっぱいで人懐っこい男の子、言葉が通じなくても「仲良くしよう!」という想いは必ず伝わります。その後、子ども達から歌とダンスの披露がありました。歌ってくれたのは「さんぽ」や「上を向いて歩こう」など、歌詞はもちろん全て日本語です。元気よく大きな声で歌ってくれる姿に私たちも思わずにっこり。またダンスは立ったり座ったりジャンプしたりと動きが速く、一緒に踊ったメンバーはくたくたになっていました。それでも最後はみんなでポーズ、素敵な時間を過ごすことができました。

 Dream Trainで働くスタッフの中には調理専門や、洗濯専門の方々もいるそうです。187名の子ども達を育てるのは一苦労、それでも皆さんが暖かい眼で子ども達の姿を見守っている姿がとても印象的でした。 また訪れることを約束し、Dream Trainで子ども達と別れた後はヤンゴン市内を散策することに。立派なビルがいくつも並ぶ通りを一つ曲がると、道端には軽食・洋服・本などの露店が所狭しと並んでいます。急速に発展を遂げる中、アジア特有の雑多な雰囲気が入り交じった町並みは不思議な魅力を持っていました。

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 その後、有名な寺院「スーレーパゴダ」「シュエダゴンパゴダ」を訪れました。メンバーのほとんどが初めてのミャンマー渡航であったため、初めて見るパヤ(仏塔)に大興奮。夜になるとライトアップされ、一際黄金色に輝くパヤの美しさは圧巻の一言でした。「シュエダゴンパゴダ」では高さ100mの大きなパヤを中心に、たくさんのパヤがそびえ立つ境内を歩いたのですが、パヤに向かって熱心に頭を下げる人々の姿をよく見かけました。仏教の信仰者が多いミャンマーの人にとって、祈ることは日常であり、大切な時間なのでしょう。私たちも彼らに混じって祈りを捧げ、ゆっくりとした一時を過ごしました。

 こうしてコンテンツ盛り沢山、充実した1日を終えることができました。(小川麻綾)

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■Ko Tarさんとの出会いと学校訪問

 TED Talkという世界的に有名なプレゼンテーションイベントに来日して出演されていたKoTarさん。代表の荒木がご友人の紹介で知り合いになったことがきっかけで、今回のミャンマー訪問でEn Lab.メンバーはお会いすることが出来ました。私達も事前に彼のプレゼンテーションを見て勉強。「お国柄的にミャンマー人は時間にルーズ?」と言われているようですが、彼は予定時間よりも早く到着して笑顔で私達を歓迎して下さいました。

 そして、KoTarさんが経営している(校長をしている)学校を訪問見学。訪問して驚いたことが、彼の経営している学校の建物が私達が想像以上に立派なものであり、幼稚園から高等学校を持つ私立総合学校であるということです。建物は洋風造りで素材がしっかりしたものであり、理科実験室やコンピュータ室、洋書も置いてある図書館、日本の学校に負けない体育館など、日本と同等、もしくはそれ以上の様々な役割を持つ部屋がありました。「おそらく、小学生の頃に通った小学校よりも立派な建物だったんじゃないか」と思うぐらい立派な学校です。

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 建物だけではなく教育内容も充実しているようで、大学で教育を勉強した先生達が子ども達を教え、教育論や発達段階を考慮し、子ども達が自ら考え学んでいく教育が行われているとのことでした。私達が訪問した僧院学校の教育は、子ども達に文章を音読・暗記させるなどの「子ども達が得た知識を生活でアウトプット出来ない」授業が主であり、いかにこの学校がミャンマー国内において進んだ教育方法を展開しているのかが分かります。

 さらにこの学校がすごいのが、特別支援のクラスもあり、その子ども達一人一人に合った教育がされているという点です。特別支援のカリキュラムは、担当教員が子どもの要望や障害のレベルに応じて決めているとのことでした。

  もうね、普通の日本の学校と正直なんら変わりません。このレベルの学校に通うための学費が、年間一人日本円に換算すると15万円程度。これに加えて、教材教具費がかかります。日本人の感覚からしたら一見安いと感じるかもしれません。しかし、人口の6~7割程度が一日1ドル以下で生活をしているのではないかといわれるミャンマーを考えると、通っている子ども達がどれほど裕福な家庭の子ども達かが分かります。見学させて頂いている間、子ども達が授業を受けている光景を何回か目にしました。小さな子ども達のクラスは、外国人の私達が珍しいようで集中が切れている子もいましたが、どの子どもみんな楽しく学んでいるように見受けられました。やはり国は違えど学ぶことの喜びは共通しているのだと実感した瞬間でした。

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  見学終了後、給食室でコーヒーを頂きながら、お話を伺う時間がありました。東南アジアの独特のなまりがある英語をしゃべり、にこにこと微笑みながらミャンマーで自分が行っている教育活動について熱く話して下さいました。そのお話の中で「自分はミャンマー国内の50の僧院学校と関係を持ち教育支援をしている」とおっしゃっていました。そして、KoTarさんの学校訪問後、私たちはその中の一つの僧院学校に向かうことになります。

■尼寺の僧院学校への訪問

  KoTarさんの学校訪問の後は、彼が支援している僧院学校の一つに見学させて頂きました。韓国のNPOの援助より新しい校舎が出来る予定だったそうですが、お金が送られてこなくなり工事が中断している建物がありました。普段使っているトイレを見せて頂いたのですが、清潔なトイレを使っている私達日本人からしてみたら、少し用を足すのをためらいますが、ここで生きていくためには大切なトイレです。また、尼寺の方々からミャンマーの僧院学校を取り巻いている状況をお伺いすることが出来ました。子ども達の進路、先生達の給与と生活状況、学校の運営状況などなど。支援がないと学校を運営していけないと言った尼の先生達からの顔から貧困の問題の深刻さが分かりました。僧院学校の子ども達に少し会うことが出来たのですが、言葉はお互い通じなく文化は違えど、交流するには笑顔だけでも十分通じるのだなと感じました。(有廣悠乃)